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銀行ってやつは・・・

石田衣良の小説「波のうえの魔術師」。
テレビでは、「ビッグマネー」というタイトルでTOKIOの長瀬が主人公を演じました。
バブルの頃に、年寄りをいじめた銀行へ仕返しを試みる老人と、老人を師匠として株取引を開始する若者の話です。

その「波のうえの魔術師」の中で登場するバブルの頃に販売された、非常にあくどい商品がありました。
銀行と生保が組んだ商品で、「融資つき変額保険」です。
加入者を、巨額の生命保険に加入させ、そのお金を銀行が貸します。生命保険の運用で銀行の借金を返し、高額の相続税も払えるという、相続税に悩むお年寄りには一見夢のような商品でした。

ただし、運用(=株)が右肩上がりでなければならないという前提があります。
バブルがはじけて、失われた10年に入り株価はダダ滑りです。
運用益がでないと、死んでも保険金で銀行の借金が返済出来ません。
そこで、銀行がとった手段は、お年寄りの住んでいる家と土地を売り債権回収に走ります。
ハイリスクな商品というのを知らされていないお年寄りは、訳も分からず昔から住んでいた家と土地を売られて失意のうちに亡くなっていったそうです。自殺者や心が壊れた人も、だいぶいたように聞いています。

で、話は現在に戻り、最近聞いた知り合いのお年寄りの話。
80歳目前の高齢のお年寄りですが、銀行の定期が満期になったので預金を下ろしに行くと、銀行員が
「本当に下ろすんですか?」としつこく粘り、帰してもらえず、下ろした定期で金融商品を購入するように長時間の勧誘が始まったそうです。その時間、なんと1時間30分

80歳目前のお年寄りには、長時間の勧誘は精神的にも肉体的にもきつかったようで、結局定期の半分を契約させられて、しばらく経った今でも悔やんでいるようです。
「大手生保の商品だからたぶん安心だろうけど、つぶれないだろうか?」
と、心配の種が増えてしまったそうです。

本当に銀行は変わっていないと思いました。

そのお年寄りが購入したのは、元本保証の変額年金保険のようですが、5年は解約出来ない「縛り」があるようで「縛り」が解けた頃に生きている保障はありません。人生の終盤なので、そのお金で旅行に行ったり楽しいことが出来たのに、それも出来なくなりました。購入することが本当にその人にとって良かったのかどうかは、目に見えてあきらかです。

金融庁による、金融商品の詳細な説明の義務付けを守ってきちんとリスクを説明したのか疑問であるし、80歳目前のお年寄りに金融商品をきちんと理解させて購入させたかも疑問です。
しかも、キャッチやマルチばりの長時間の勧誘です。超大手の地方銀行の話だからあきれます。